やじさん若くなる? 3



「そうか やじさんも いきなりで驚いただろうね」

「やじさんもって? あ そうかガンちゃん達も 実体化したんだっけ」

「そうだ こっちの事も 教えておいた方がいいね 夕杏ちゃんもやじさんが来てから生身の体になったんだから、詳しくは分からないだろから」

やじさんと夕杏がうなずくとガンちゃんは、少し長くなるがと付け加え、話し始めた。

「その前に やじさんは、リアルとここの時間の流れは理解しているよな  ゲーム進行の都合で、地球での2時間がここの一日だ。 そしてそのリアルの2時間がここでは24時間になる」

「あぁ わかってる それじゃないとリアルで夜だったらゲームも夜間モードばっかりになるからなぁ  朝6時に待ち合わせしたら本当に朝6時にゲームインしなきゃならない」

「まっ そんな認識で十分だが 大事なのはやじさんがここに来るまでの間はずっと 2時間が1日だったって事さ」

「ん そうすると俺が引退してから少なくても80日として‥‥ ‥‥ ‥‥ 2年半位か?」

「まあ そんなもんだ ただこのサーバーのプレイヤーが全ていなくなったのは2年前だ。ちょうどその頃に俺たちは人工知能を持った体を授かったという訳さ」

「つまりここのNPCの皆は2か月前から実体化してたのか」

「2年前だよ やじさん  夕杏ちゃんを除いてな」

「そか 悪い」

「それで 俺みたいに公的職業のあった者はそのまま給料がでるから、それ程困らなかったが村の住人とかの生産者は、自分の力で野菜を育てたり猟をしたりといった事をしなきゃいけなくなった。」

「うん」

「でもな いくら知識があっても巧くいくとは限らない。 天候で左右される場合もあったが 経験がないというのが収穫に迄つながらなかった一番の原因だよ。 それまでプログラムで管理されて、何事も順調に進んでいたからな。」

「それで  みんなはどうなった?」

「幸いここのアルパ帝国の王は頭の切れる有能な部下を揃えていたからな、税で集められた食料を難民救済として直ぐに配ったんだが、今年の畑の出来しだいでは小麦の在庫が無くなるかもしれないと噂になっている」

「で 今年は大丈夫そうなのか?」

「あぁ 貴重な経験をしたからな 豊富な知識を合わせたら 多分大丈夫だろう」

「良かった それじゃみんな助かるんですね」

「でもな、夕杏ちゃん いい事ばかりじゃないんだ。 この国はうまく危機に対して素早く機能したが、全ての国がという訳にはいかなかった。隣国でも最初は食料を配っていたんだが、備蓄量が足りなかった。

 半分近い住民は、森に入って果物や小動物をとったり、他国へ逃げ出したりしたが、上手くいかなかった者は盗賊になってしまったそうだ。このギルドに来て新たに冒険者の登録をしたやつらの話だがな」

「盗賊って‥‥ 本当なんですか?」

「あぁ 実際この国の国境の村も盗賊に襲われている。 幸いなことに今のところ死人は出ていないがね。 まあどこから来た奴が盗賊なのかは捕まえてみないと分からないが、どうやら隣国の役人が背後で指示しているらしいとの情報も入っているしな。」

「役人って 王様は何をしているんですか?」

「まだ若いがしっかりとした人物らしい、食料の備蓄が足りなくなったのも、その役人ってやつが何処かへ隠したって情報も入ってる。 どうやら王様も気づいて調査しているらしいが、なかなか尻尾を出さないみたいだ。」

「なあ ガンちゃん そいつの その役人の名前はなんていうんだよ」

「聞いてどうする? いくのか?」

「この話はどうみてもクエストでしょ、ガンちゃんの話を聞いた時点で、もうフラグが立ってる感じだし、ギルドの依頼でもなさそうだし、 俺がここへ来た原因になった、なにかが分かるかもしれないしね ちょっと行ってみるよ」

「ほー クエストか なんか懐かしい響きだねぇ  それじゃ ほれ2人分だと金貨で50枚もあれば十分だろ」

「えっ くれるのか ありがたいねぇ~」

「大丈夫だ これはギルドの金だから後でやじさんの預金から返してもらうから 立替だよ」

「自腹かよ なんか腹減って来たな 夕杏 飯食いに行って 明日朝出発しようか」

「了解です やじさん」

「それじゃなー ガンちゃん 終わったら報告に来るわ」


「おい 名前聞かなくていいのか?」

「…… それで名前は?」

「ゴン・エーモンだ イルバ王国城の北西5Kmにあるイレブン砦の守備隊責任者だ。兵士は50名ほどでメイドやコックを合わせても70名程度だと思う。」

「わかった ありがとう   そういえばアキちゃんはどうしたの?」

「実家のお母さんが農作業で腰を痛めたみたいでな、村に手伝いに行ってるよ。」

「そか じゃあ俺より早く戻ったら、よろしくと伝えておいてくれ」

やじさんと夕杏はギルドを出て、拠点に戻る前に腹ごしらえをするため何度か行った事のある食堂へ入る事にした。

「そういえば俺も夕杏もここでの、初めての本物の食事だよな 今日は軽いものにしておいた方が良いかもね」

「お腹が空くって感覚が初めてなので、よくわからないけど 食べたいってのは分かります。 スープとパンとデザート位にしましょうか?」

「んだな」

「??? それって どういう意味?」

「そだね~ とおんなじだよ   年寄バージョン」

「じゃあ 決定という事で」

「お腹の調子が良かったら 明日からいっぱい食おーぜ」

「あんまり食べると お腹が出ちゃいますよ」

羨ましくもあり 実に微笑ましい 光景であった。


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