ダンジョンでレベル上げ 1

「ねえ アルさんて、レベルいくつだろ?」

「分からん、それより冒険者以外でもステータスが判るのか?」

「どうだろう? やってみる?」

 やじさん達がこそこそ話しているのを聞いていたアルは素直に聞いた。

「ステータスとはレベルの事か?」

「あ、そうです、 いくつかな~と思って」

「どうしたら、分かるのだ?」

「えっと、冒険者は自分のステータスを見る事が出来るんですが… 試してみます?」

「そうか、やってみるぞ、教えてくれ」

「では、コントロールパネルオープンと言ってみてください…多分」

「コントロールパネルオープン… ん、なんだこれは?」

「お~出たみたい、 ちょっと見せてください」

 とアルの傍に寄って、のぞき込むやじさん。

「ちと近いな、やじさん」

「襲いませんから、少し我慢してくださいよ」

やじさんは顔を引っ付けるようにして、パネルをのぞき込む。

「えっとですね、上から順に説明しますよ、一番上が種族で、人間ですね」

「なるほど」

「で、次がレベルで、順に体力・戦闘力・魔力、そして武器スキル…‥」

 とりあえず、並んでいる順に見方を説明したやじさんは、思った。

「アルさん、大事に育てられたのが良くわかるわ」

「仕方ないであろう、国の政治を司る事が大事であったからな、武術の訓練は健康管理みたいなものだ」

「で、レベルとかスキルとかどうだったの?」

「うん、レベルは8、魔力が一番多くて、後は俺たちの10分の1ってとこかな?」

「まあ、冒険者基準のスカウターだから政治レベルってのは加わらないよね」

「あ、でもスキル欄にリーダーってのがあってMAXになってる、これって基本レベル上がるともっと伸びるんじゃね?」

「やじさん、その基本レベルとやらは、どうやって伸ばすのだ?」

「モンスターとかを倒すのが、普通かな?」

「じゃあ、丁度いいではないか、宝物庫へ行けば、そのLvとやらが上がるのであろう?」

「まあ、そうだけど、 実際に倒さなくちゃいけないんだぜ」

「それは、やじさん達がある程度闘って、弱った所を一突きすれば、問題なかろう」

「さすがリーダースキルMAXだね、自分のレベリング計画をさらっとおっしゃる」

「良いんじゃない? 面白そう」

「夕杏が良いんなら、いいけどさ、モンスターだって必死だからね、最初は遠距離攻撃が無難かな?」

「うむ、弓なら、いやボーガンの方が当たるだろう」

「そうだね、そっちの方が威力もあるし、それにしよう」

「では、決まりだな」

「でも、難しそうだよね、あと少しで倒れる所までってさ」

「ボーガンだから、そろそろって時に一撃入っていればカウントされると思うけど」

「そか、何か攻撃が当たればいいんだ」

「でも、最初に手を出したやつがモンスターに睨まれるから、最後の方でじゃないと危ないからね」

「わかった、十分注意する」

「では、そういう事でw。 5層くらいならそんなに時間かからないだろうから、行きますか?」

「いやいや、さすがにこれからは無理だ、お酒も入った事だし、明日にしよう」

「そうそう、みんなやじさんみたいな脳筋じゃないんだから、明日にしましょう」

「何か引っかかるけど、まあ良いかぁ~」

「ねえアルさん、もう一つのお仕事って何?」

「そうだな、そっちも一緒に行こうかな。 えーとだな、ひと月ほど前になるが、猟師の2名が珍しい石を拾ったと、役所に届けに来たのだが、技師が調べたところ火廣金(ヒヒロカネ)らしい物が少し含まれていたそうなのだ。猟師の話によると近くに洞窟があって、地形から考えると、そこからモンスターが持って来たか、投げたのではないかと言うのだ。本当であればとんでもない価値の鉱山が見つかった事になる。っていう話だ」

「火廣金ってすっごく硬くて錆びないとかいう伝説級の鉱石じゃんか。 という事は、洞窟に入って中を詳しく調べるって事ね。 で、それが何でお宝に関わるのかな?」

「なんというか、洞窟が崖の中腹あたりにぽっかり開いてるというか、入り口までの高さが垂直で5mほどあってな、真下に川が流れているのだ。流れの上に足場を作るのも難しいので、宙を飛んでロープを川のこちら側まで、かける事が出来れば、簡単な橋がかけられる。出入りが楽になると思ってな」

「ほほ~、浮遊魔法ってのがあるのを、お忘れになってるんですかねぇ。 つまりは、危険そうな洞窟に最初に行くのをお願いしたいという事でしょ」

「だから、最初に強さがどれほどなのかを聞いたではないか、それに飛んでいる間は他の魔法が使えぬと夕杏も言っていたではないか、浮遊できるベルトがあった方が安全だと思わぬか?」

「う~ん、思うかな」

「で、あろうw」 

「じゃあ、ベルトが手に入ったら、やってあげようかな?」

「やじさん、その意地悪キャラ、しつこい」

「げっ、すみません」

「さすが、夕杏さん。 これからもよろしく頼むぞ」

「それじゃあ、もう少し飲んで、英気を養いますか」

「ついでに、私の冒険者デビューを、乾杯でお祝いを」

「まだ、デビューしてないじゃん」

「こういう事は、早めが良いのだ」

「へいへい」

 こうして楽しい夕食を終え、やじさんと夕杏は部屋に戻った。

「さて、明日はどんなモンスターが出てくるのかな? あんまり弱いとがっかりだしな」

「良いんじゃない、アルさんレベル低いし、弱い方が訓練になると思うよ」

「そうだな、ケガさせないようにしないとな」

「そうよ、安全第一。 でもアルさん王様なのにいいのかな?」

「本人から行きたいって言ったから、良いとは思うけど、ケガさえしなけりゃ問題ないでしょ」

「うん。 ねえ、アルさんて良い人だね」

「あぁ、そうだな」

 やじさんと夕杏は、こちらに向かう時に装備類はきっちりチェックして来たので、心配なのは途中で消費した食料だけだ。

 明日は城の中でのダンジョン探索で、しかも浅い階層だ。
 よほどの強者が居ない限り短時間で済みそうだが、水と非常食を持って行こうと話し合って決めた。

 ダンジョンは、見かけ通りの形態だとは限らない事を、これまでの経験で知っているので油断はしない。

 まあ、持って行くと言っても倉庫の手前に置いておけばいいのだから、負担は無い。

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