ダンジョンでレベル上げ 2

 翌日、朝食をしっかりとご馳走になり、やじさん、夕杏の二人は地下へ降りて、宝物庫前でアルさんの到着を待っていた。

「今日は、どの位で完了するかなぁ?」

「アルさんのレベル上げも有るから、慎重にやらないとな。 夕杏、オーバーキル注意だからな」

「あら、じゃあ私は弱体魔法だけにしようかな」

「あっ それもありだな、俺はスキル使わないで、イベントでもらった、この木刀、七星丸でやってみるわ」

「案外、下の階層に行ったら強いかもよ」

「お、アルさん来たみたい、  だけど…」

なんとアルさんの後ろには騎士団長と兵士たちが10名ほどぞろぞろとついて来る。

「アルさん、みんな一緒に行くの?」

「いや、澱んだ魔力が貯まったとすれば、隙間があるはずだと言うのでな、階層ごとに魔物が片付いたら塞いでいこうと思っている、その係だ」

「あ~、騎士団長である私はついて行くぞ、王の背後を守らねばならんのでな」

「なるほど背後ね、その方が集中できて良いかな」

「ねえ、アルさんこれ着けといて、守りの指輪っていって、クリティカルヒットされた時、ダメージを半減できるから」

「すまない、借りておく」

「団長さんは、強そうだし、ちゃんと甲冑着けているし、大丈夫ですよね?」

「当たり前だ、その辺の魔物位は相手にできるぞ」

「それじゃ、行きますか、 先頭俺、次夕杏、アルさんと団長は付いて来てください。 あとの方は済んだら呼びますので待機です」

「了解したぞ、ちょっとドキドキだな」

「じゃあ、入り口開けます~」

 まずは4人で先行し、その階層のモンスターを殲滅させたのちに、澱んだ魔力漏れ対策を行う手はずである。

「結構、広いね」

「宝だけでなく、使わなくなった物も置く様にしたらしいぞ。そのため棚を多く並べる必要があったみたいだ」

「ふ~ん」

「やじさん、反応有り、進行方向、右奥に一体、その手前に二体ね」

「了解、じゃあここで待機してて、手前のから釣ってくる」

「ちゃんと、合図してよ、後、種族とかもね」

「分かってるって、PTチャットON」

「OK 」

「ゴブリンだぞ~ ごく普通のゴブリンだそうだ」

「了解、アルさんゴブリンだって」

「分かった、矢をセットする」

「あっ 悪いこっちきて、足折れちゃったみたい。 ちょっと小突いただけなのに、変だな」

「え、2匹とも?」

「うん」

「はぁ~ アルさん移動するわ」

「ん、予定と変わるのか?」

「とりあえず安全な状況を作ったので来て欲しいそうです」

「そうか、向かうぞ」

「こっちこっち」

「あっ 居た。 この辺からなら当たりますよね?」

「うん 大丈夫だ」

「やじさん、 こっち戻って」

「はーい」

「さあ アルさん 撃つて」

 夕杏が何故、機嫌が悪いのか分からないアルさんの狙う手は震える。外したらヤバイと思いながら慎重にトリガーに力を込めた。

 何とか当たったが、ゴブリンはまだ健在だ。

「はい、 もう一度」

「はい」

 当った場所が悪かったのか自分よりLvが高いのか判断できなかったが、震える手でもう一度矢を装填し、狙いを定め撃った。

 2度目の攻撃でゴブリンは澱んだ魔力に戻るように徐々に姿を消す。

 その時、トクンとアルさんの鼓動がなる、久しぶりの感覚だ。

 きっとレベルとやらが上がったのだろうと思った。

「はい 次 ぐずぐずしない」

「はい、今すぐ」

 2度目の鼓動の響きを感じ、アルさんは夕杏にこの事を伝えた。

「えっ ちょっとパネル出してみて」

パネルを出して見ると、夕杏さんが近づいて来てパネルをのぞき込む。アルさんは、ちょっとドキドキした。

「すごいL10 だから2つあがったね」

 なんか夕杏さんの機嫌がよくなった。外さなくて良かったとアルさんは思った。

「これで、レベルが上がるって、結構ゴブリンのレベル高いのかもね。 やじさん次のも同じ感じでやってみて」

「お~了解、次は右奥だったな」

 やじさんは、音を立てずに移動を開始した。

「ん、やじさんの動く音がしないが」

「次はきっとこの階層のボスみたいな感じだから、クエィットって言う静かになる魔法使ったはず」

「特に何も詠唱してなかったが」

「何回もやっていると、イメージって言うか思っただけで出来るようになるわよ、アルさんもそのうち出来るよ」

「夕杏、次は少しデカいぞ、オーク見たいだけど見たことが無いタイプだな」

「また、足狙える?」

「うん、俺から見たらかなり格下だから、大丈夫」

「じゃあ、向かうわね」

「一応、近辺にポップしてないか確認してくれ」

「了解、」

夕杏は直ぐに近辺のサーチを行い、安全を確認した。

「オールグリーン、そこの一匹だけ、向かうわ」

「了解、始めるよ」

 やじさんは、走り出してモンスターの足元に音もなく滑り込み、木刀七星丸を脛のあたりに、少し力を込めて叩き込む。先ほどのゴブリンより強いと思ったからである。

 ボキボキという音と共に膝をつくモンスター、叫び声と共にこちらを睨んでくる。

 咆哮といって、弱い相手ならビビって動けなくさせる行動だが、やじさんには効かない。

 モンスターは片手に棍棒を持っているが、握りしめながら両手で体を引きずるようにこちらに近づいて来る。

 その時、一本の矢がモンスターの脇腹に刺さり込む。

 モンスターは矢の飛んできた方向を見て、初めて自分を襲う者が複数だと気づくが、すぐに飛んできた2本目の矢が意識を奪い、少しずつ澱んだ魔力へと戻っていった。

「夕杏さん、またレベルが上がったようだが、確認してくれないか」

「どれどれ」

 アルさんは既に自分でLvが上がったかどうか位、見る事が出来る。

 ただ、もう一度ドキドキしてみたかったのである。

「わあ、もうLv13だよ、あのオーク結構レベル高かったみたいだね」

 アルさんが大きな深呼吸で、ドキドキを楽しんでいると後ろから咳払いが聞こえた。

 アルさんは、Lv以外の変化が起こるまで、この手は使えないなと思った。

「やじさん、これでこの階は終わりか?」

「えーと、見た感じ、他には居ないので、OKです。 後続に、ここの換気と隙間対策をお願いしてください」

「分かった、騎士団長、連絡をしてくれ」

「はい」

「では、やじさん、次の階に行こうか?」

           -17-   ≫   -18-  目次